ラハ・メボウ(陳潔瑤)監督の長編3作目となる『ハヨン一家〜タイヤル族のスピリット』は、山で暮らす三世代のタイヤル族家族が、選挙や外来文化を巡り、価値観がぶつかり合う様子を描いています。家族の葛藤と仲直りをリアルな語り口で描いた感情豊かなこの映画は、台湾原住民の映画監督として初めてゴールデン・ホース・アワードの監督賞を受賞するという歴史的記録を生み出し、助演女優賞も受賞しました。
物語の舞台は、宜蘭の山岳地域で暮らすタイヤル族の部落。ハヨン家は伝統家屋の焚き火から立ち上る白い煙に囲まれています。祖父のハヨンはタイヤル族に伝わる「ガガ(GAGA)」の伝統を固く守り、勉強嫌いでハンターを夢見る孫にも、先人たちの戒めを守るよう言い聞かせていました。しかし晩秋のハヨンの急死を境に、村長たちが家を襲撃し、農地を略奪し始めました。長男のバシャンは、全財産を賭けて村長選挙に立候補する覚悟を決めます。そんな時、ニュージーランドから帰国したバシャンの娘アリが、外国人の恋人を連れて帰って…。