講演者:甘耀明(カン・ヤオミン)
甘耀明の小説は、台湾のマジックリアリズムの代表作だと評されています。彼の作品は童話的な語り口のなかに、歴史・暴力・人間性への深い洞察が込められています。本講演では代表作『鬼殺し』を起点に、いかにして幻想的なタッチで第二次世界大戦や二・二八事件、白色テロといった台湾の歴史的記憶を描いているのかに迫ります。また、荒唐無稽な変容と幻想によって、大人の世界や社会の傷をどのように見つめているのかを読み解きつつ、文学が記憶や癒しにどのような役割を果たすのかを考察していきます。